自分のことを頑なに語らない。



そんなネオに少し寂しくもなったけれど

きっとネオは、それがありのままの姿なんだろうと思うことにした。



部屋の中を見渡しても、ネオの嗜好はよくわからなかった。


唯一ネオの嗜好を示すものがあるとすれば、山のようにたくさんのクラシック音楽のCDラック。

ネオは音楽を語るときだけ、少し口数が多くなった。



「花音、そろそろ行くよ」


ネオは小洒落たジャケットを着て、あたしの頬に触れた。



去り際の、触れるだけのキス。


それだけで、胸が高鳴った。



「行ってらっしゃい」


笑顔で見送った後、あたしは食事の後片づけをして家に帰った。