「思いきったことしたわよねぇ。あたしたちみたいに代わりがいくらでもいるようなOLにとっては、いい男との結婚が人生のゴールだっていうのに。
まぁ、悠貴さんはちょっと問題ありだけどね…」


遥の言うことはもっともだと思った。


ただの契約社員のOLにとっては、社会的地位のある結婚相手を見つけることこそが大命題。


遥はいつも口癖のようにそう言っていた。


仕事をただマジメにこなしても、それ以外に何の取り柄もないあたし。

そんなあたしには、結婚するという道しか残されていないんだと思う。


だけど……



「止められなかったんだ。ネオへの気持ち」


呟くように言うと、遥は困ったように笑いながら隣にすわるあたしの頭を撫でた。