「花音、他に好きな人がいるって言ったわよね。その人なら、心から愛することができるの?」


お母さんの問いかけに、あたしは深く頷いた。


「今のあたしにとっては、その人が何よりも大切なの。悠貴よりも、大切なのよ」


強い口調で言い切ったあたしに、お母さんは優しい笑みを浮かべた。



「ねえ、花音。本当の理由はそれだけじゃないんでしょう?」


「えっ……?」


「あなた、本当は最初から悠貴さんのことを心から好きじゃなかったわよね?」


「ど、どうして……?」



戸惑うあたしに、お母さんはクスッと笑ってまた言葉を続けた。