家の玄関のドアの前で、大きく深呼吸をした。



お母さんやお父さんに、ちゃんと悠貴とのことを説明しなければ。


そう思えば思うほどに胸がチクチクと痛んだ。



もう一度深く息を吸いこんで、勢いよくドアを開けた。



夜中のシンとしたリビングに入れば、お母さんとお父さんが神妙な面持ちでソファに座っていた。


「ただいま」


あたしの声にハッと二人が振り返る。


「花音!」


お母さんの悲しそうな顔を見たら、胸が痛くなった。


だけど、ちゃんと説明しなければいけない。


あたしはギュッと拳を握り、向かい合うようにソファに腰掛けた。