「あなた悠貴のプロポーズを受けておいて、他の男と浮気をしていたって言うの!?」


悠貴のお母さんは、立ち上がってあたしの着物の襟を掴んだ。



「何も言い訳することはありません。本当に、申し訳ありません」


そう言って、ただされるがままにあたしは俯いた。



――バシン!


乾いた音が響くとともに、左の頬に激痛が走る。



「花音!大丈夫!?」


お母さんがとっさにあたしをかばおうとしたけれど

あたしはそれを拒むように顔を背けた。


「いいの、お母さん。あたしが悪いんだから。お母さんにも迷惑をかけて、ごめんなさい。親不孝な娘で、ごめんなさい」