「あたし、他に好きな人ができました」


そう言って、あたしはゆっくりと悠貴に目をやった。


「悠貴さんには、本当に申し訳ないと思ってます。プロポーズを受けておいて、今さら本当に申し訳ありません」



ごめんね、悠貴。

あなたを裏切ってしまって、本当にごめんね。


その思いを込めて、あたしは悠貴に頭を下げた。




悠貴があたしを愛してくれたこと。


ひと時だったとしても、嬉しかったから。




「こんなひどい裏切りはないわ!」


口火をきったのは、悠貴のお母さんだった。