あたしの突然の言葉に、全員の視線が注がれた。


驚いたように、一瞬全員が手を止めてあたしの顔を見つめていた。


この子はいったい何を言ってるのか、と全員がうろたえ始める中で

ただ悠貴だけが顔を強張らせて、あたしに痛いほどに視線を注いでいた。



「ま…まぁ、何言ってるのかしら、この子ったら」


「そうだよ、花音。こんな席で冗談はよしなさい」


苦笑いを浮かべるお母さんやお父さんに、あたしは首を横にふった。


「冗談じゃないの。お父さん、お母さん。あたしは本当に悠貴との婚約を破棄したいと思ってる」


もう一度、はっきりと言った。


そんなあたしの表情に何かを悟ったのか、その場の空気が一気に凍りついた気がした。