「花音、ただいま」


ふと顔をあげれば、帰ってきたばかりのネオが

ソファに寝転ぶあたしの顔を覗き込んでいた。



今日はいつの間にか、寝てしまっていたみたい。



「あ……お帰りなさい」



急いで身を起そうとするけれど、ネオは「寝ていたらいい」と言ってソファに腰を下ろした。



ネオはいつも、帰ってきたら冷蔵庫からペットボトルを取り出して

冷えたミネラルウォーターを口にしている。



あたしは幸せだった。


こうしてネオの生活の一部分を見ることができるのが。



外で会うネオは、なんだか生活感が感じられないから。



こうしていると、ネオの全てを知ることができたような気になる。