「ねえ、ちゃんと話をしても、悠貴さんは破談にするつもりはないの?」


「きっと、両親や会社の上司にも報告してしまってたから、いまさら破談になってできないんだと思う」


「そんな……」


悠貴はあたしを決して許さないんだ。


結婚を推し進めるのは、あたしへの罰のつもりなんだろう。



「あたしが悪いってわかってる。悠貴との結婚が、周りの人を傷つけることのない、一番いい選択だってことも。でも、どうしても止められないの」


遥の手をギュッと握り返しながら、言った。



「花音が本当に好きな人と結婚するのが、一番の選択だと思うよ。あたしはこのまま結婚するべきじゃないと思う。それに、花音も悪いかもしれないけど、悠貴さんだって同じようなことしてるじゃない」


「でも、そうさせたのもあたしかもしれない」


「たとえそうだとしても、この結婚はやっぱりやめた方がいいよ。悠貴さんにもう一度そう言ってみなよ」