「悠貴のプロポーズを受けておきながら、他の人を好きになったの。他の人と、関係を持ったの。あたしも、悠貴を裏切ってるの……！」


「花音……」


「もちろん、このままで悠貴とは結婚できないって、ちゃんと打ち明けた。でも、悠貴は婚約を破棄するつもりはないって……」


一気にこみ上げてくる感情を、グッとこらえて言葉を続ける。



「両親にも会社にも報告してるんだから、絶対にあたしとの結婚はやめないって。そう言われて……」


「それで、花音はどうしたいの？」


悠貴の低い声を思い出し、思わず手が震えた。



「当然の報いかなって思ってるよ。だってあたしは悠貴を裏切ったんだから。でも、それでも気持ちが止められなくて、つらくて……。どうしたらいいかわかんなくて……！」


高ぶってくる感情の波を必死に止めようとした。