「何?どうしたの?」


「うん。じつはさ。少し言いにくいんだけど……」



意を決したように遥は口を開いた。



「あたし、見たんだよね」


「何を?」


「悠貴さんが、繁華街で女の子の肩を抱いて歩いてるとこ」



遥の言葉に、ハッと息を飲んだ。



「一度じゃなくて、何回も。それも、そのたびに違う女の子だった気がする」


「……そう」



驚きはしなかった。



悠貴がこの前言ってたもの。

あたし以外に、体だけの女の子がいるって。



ただ、人伝いにこうして聞くと、やけにそれがリアルに感じられて。


なんだかよくわからない、負の感情に心が冷たくなる。