「こんばんは、玲さん」


名前で呼び合うあたしたちを見て、遥は驚いたように目を見開く。


「何、いつの間に親しくなってんの?」



遥はあたしと玲さんの顔を交互に見ながら、頬を膨らます。


そんなあたしたちの様子にクスクスと笑いながら、玲さんはおすすめのカクテルを出してくれた。


そして玲さんが席から離れると、和やかな空気を一転させるように、遥が真剣な様子で口を開いた。



「あのさ、花音」


あたしに体を向けて、何か言いにくそうに視線を泳がせる遥。


何だろうと、顔を覗き込むけれど

遥の表情は少し曇ったままで口を開こうとしない。