ギシリと音を立てながら、開かれたレトロな木目調の扉。


いつもは音楽と客たちでにぎわっているはずのそこは、今日はとても静かだった。


照明も暗くて、人々の笑い声も聞こえない。


「誰もいないのかな……」


そう思って店の奥へと足を進めた時だった。




「あれ?どうしたの?」


突然フロアーに響いた低い声に、あたしはビクッと肩を震わせた。


「ネオ……」


振り返れば、グランドピアノの前にグラスを持ってたたずむネオの姿があった。



この前と同じ、鋭い瞳が薄暗い中あたしをとらえている。


酔ってるのかな……。


その眼差しが、少し熱っぽかった。