仕方なく、日づけが変わる頃にあたしは家に帰った。


その、翌日のことだった。





「花音!起きてる?」


朝、あたしの部屋を激しくノックしながら、お母さんが声をあげていた。


眠れなかったあたしは、何事かと思ってすぐにドアを開けた。


「お母さん、どうしたの?」


ただごとではない様子のお母さんに、ドクンと心臓が高鳴る。



「花音。さっき、ピアノ教室から連絡があったんだけどね、あなたをみてもらってる先生がね……」



「え……?」




お母さんの話したことを、あたしはぼうっとした頭で聞いていた。