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永都先生と、初めてデートをすると約束したあの港。


海を見渡す港の近くの駅で、あたしはずっと待っていた。



だけど、先生の姿が見えないまま

30分、1時間と刻々と時間が過ぎていった。




先生、どうしたんだろう・・・。


腕時計を睨んでは、キョロキョロとまわりを見渡して。


暮れていく空に不安を募らせていた。



どれだけ待ってもこない人を、日づけが変わるまで待ち続けていた。



あたしは、先生のケータイの番号さえ知らなかった。


「生徒には教えない主義なんだよ」

教えてほしくてせがむあたしに、先生はいつもそう言ってた。



高校生のころから、あたしはずっと先生を知ってたのに

連絡手段さえ、持ち合わせてなかったんだ。