以前、
…池田屋事件のとき…
私が迷っていた時に一が言ってくれた
誠を信じろと。
後悔するなと。
『…私、帰らなかったら
後悔すると思うの…樹のこと…。
…新撰組の皆にはまた会える…
それを信じてるから…
だから…本当は凄く嫌だけど…
お別れは悲しいけど…
また会えること願って
帰るよ…』
決意とは裏腹に涙が滲んでくる。
「…気が変わったらいつでも言え‥」
滲む視界の中の翼の表情は
よく見えなかったけど…
苦しそうに見えた。
『翼がそんな顔しないでよ…
死神のくせに優しいなぁ…』
そう言ってクスリと笑うと
翼も
「お前も人間のくせに変わってる」
そう言って綺麗に笑った。
『うん。…そろそろ戻るね…土方が戻ってきたら心配される。』
きっとそろそろ
部屋に戻って来るだろう。
「わかった。何かあったら呼べ…
俺のことは蛍にしか見えないから。」
翼はそう言うと
また微笑んで静かに消えた。