「おはよう 蛍。」

『おはよ』

毎朝 “おはよう”と
優しくこえをかけてくれるのは

双子の弟の 夏目 樹

学校があるのに
病院に来てくれる優しい弟だ。

「あのさぁ、 こんど友達が会いたいって」

『そうか、 連れておいで
私も 会いたい』

私は病気のせいで学校なんか
行った事がない。

勉強は家庭教師が毎日
病室まで来る






私は外に出ることは許されない。

生まれてから3回ほどしか
外に出たことがない。

全部 病気のせい。


蛍の容姿は美しい

腰までのびた綺麗な黒髪
ずっと外に出ていない為
真っ白な肌

誰もが振り向くような
美少女だ。

が、 鈍感である。



『樹 そろそろ時間じゃない?』

そうこうしてるうちに樹が
学校に行く時間になった

「うん 行ってくる」

『ん。』

私はそのまま目を閉じた。



ーーー

『...ん...ん?』


目が覚めると知らない場所だった。
布団の中だけど 病院じゃないのは
確かだ。

「あ、目ぇ覚めました?」

『...は? 』

驚いて声のした方を見ると
袴を着た美しい男が座っていた。

これは夢だろうか...
いや...夢だと思いたい。

「ちょっと待ってて下さい」

そう言って男は部屋を出て行った。







しばらくすると、さっきの
男が 何人かの男を連れて部屋に
入って来た。

「お前 何で屯所の前に倒れてた?」

入ってきて早々イケメンの男に
話かけられた。

って言うか、 は?

『屯所?』

何? 屯所って...。

「壬生浪士組屯所の前で倒れてたん
ですよ」

え? 何? 壬生浪士組って
新撰組じゃない?





え? ちょっと待って...

『...今って何年ですか?』

ヤバイよこれ...

「何言ってんですか?
文久3年ですよ?」

あぁ...頭痛い。

なんか..こんなのケータイ小説で
読んだことあるよ...

きっと私、死んだパターンのヤツだよ
これ...







「おい!!」

考え込んでいたが
男の声で我に帰る

『あっ...何?』

「何? じゃねぇよ!!
お前...長州の間者か?」

『違う。』

「どっから来た?」

『わかんない』

本当...どうなってんの?

信じがたいけど、
たぶん..

ここ幕末で この人達..新撰組だ....









「あのさぁ、その美少年 誰?」

ずっと黙っていた一番若そうな
男が言う。

美少年って...美でもないし
少年でもない...。

髪の毛結んだからか?

「名前は?」

『...知らない人に
名前教えちゃだめって言われてるんで』

なぁんてね..
そんなこと言われてないけど...














「知らない人って...
俺は 藤堂平助!!」

わかってたけどね...なんとなく。

「俺は 原田左之助。」

今の人 色気すげぇ...

「俺 永倉新八!」

これが がたい のいい男。

「 斎藤一。」

この人 すっごい美形。

「僕は 沖田総司。」

この人もすっごい美形。

「おめぇら 何名乗ってんだよ!!」

この人 多分 土方歳三。
すごいイケメンだ。