未来…私がいた時代と引き換えでも
皆と…この時代で生きることを
選べばよかった…。
「…あ…。
雪だ……。」
再び溢れた涙。
そして
真っ青な冬空から舞い始めた雪が
蛍の頬を濡らした。
『……あ…そうだよね…』
「何か言ったか?って
何泣いてんだよ!?」
『…綺麗だなぁって思って…雪が…。』
嘘。
本当は…青い空の下、舞う白い雪が
私には狂い咲きの桜のように見えたんだ
そうだよ…
未来に帰るのは私が自分で決めたこと。
自分で言ったんだ…。未来に帰ると。
神様…感謝します…。
きっと…
春には見ることができない桜を
今、見せてくれたのでしょう?
土方との約束…果たせてよかった…。
未来に帰る。
それでいい。
樹が待ってるんだ…
土方たちには…また会える…。
一緒に桜を見ることができた…
本物の桜じゃなかったけど…
とっても幸せでした。
『…ありがとう…土方。』
「何がだよ…」
『…いろいろ。』
連れて来てくれて、桜を見せてくれて
ありがとう。
「…冷えて来たし、
帰るか…。」
『…うん。』
土方たちの前で泣くのは
今日で最後にしよう。
明日からはもう、土方たちの前では
泣かない。
辛くても、悲しくても笑ってみせるよ。
大好きな人たちの記憶に残るのは
泣き顔じゃなく笑顔であってほしいから。
ーーーーーー
「あれ?蛍、土方さん、もう帰って来たんですか?早いですね。」
「あぁ。雪が降ってきたからな。」
「そうですか。…あっ
じゃあ蛍、遊びましょうよ!雪ですから!」
総司…なぜ君はそんなにテンションが高いんだい?
まずね、雪だから遊びましょうっていうのが分からないわ。
普通、雪だから部屋で温まろう!でしょ?
『総司…私、寒いから。』
てゆうか
さっきまで土方と私、シリアスムードだったんですよー
私、泣いてたんですよ…
だから私、部屋に戻りたいです。
そんな心の声は総司に届くはずもなく
…いや、届いていたとしても聞いてもらえるわけもなく
「蛍、僕ずっと蛍がいない間
寂しかったんですよ?
ずっとずっと待ってたんですよ?
なのに…やっと帰って来たと思ったら
…構ってくれないんですか?」
とーっても悲しそうな顔で私を見る
総司。
演技だとわかっていても
その顔にはやられてしまう。
とりあえず土方の顔をみる。
「…何でこっち見んだよ…」
こうなったら土方も…
…巻き込んでやる。
『…土方。総司が遊びたいんだって。』
「遊んでくればいいだろ。
俺は部屋に戻る。」
嫌だぁああ!!!
寒いんだよ!
一人で総司と雪遊びなんて恐ろしい!
私、知ってるんだからね!
総司は腹黒で鬼畜なこと!
助けてよ!土方!!
「何だよ。総司はお前と遊びたがってんだろ?遊んで来いよ。」
鬼ぃいいい!
「蛍ー。遊びましょうよー!
僕雪合戦がやりたいです!」
もっと嫌だ!
雪合戦なんて総司、私を殺す気だろ!
あっ…でも…
『…総司…明日にしようよ…
ほ、ほら!まだ雪つもってないし…ね!』
今日はちょっと嫌だけど、
明日なら悪くない…。
「えーーーー」
『明日なら、土方も
…あっ!一!一も一緒にやってくれるみたいだよ!!』
「「……は?」」
ちょうど近くを通った一まで巻き込む。
「…すまん蛍、何の話をしているのか
全く分からないんだが…。」
ごめん一。
『総司が明日、雪合戦がしたいんだって!』
「蛍もやるのか?」
『うん!』
「そうか。では俺も参加しよう。」
一はいつものようにフッと
優しく笑った。
優しい一。大好きだ!
「おい。俺はやらねぇぞ…」
おいおい!土方!!
空気読んで!
『明日だよ!?やろーよ!』
「土方さん!やりましょーよ!」
「…俺は仕事が「『ありませんよね!』」」
仕事なんて、今週は皆ありませーん!
「ぁぁああ゛!!
やりゃあいいんだろ!?
やるよ!」
土方は…
まぁ…強制的に参加させた。
寒いから本当はやりたく無かったんだけど、やるなら楽しくしたいしね!
『あっ!そうだ!
みんなでやろう!!
私、行ってくる!』
私は総司と一と土方をその場に残して
近藤さんの部屋へ向かった。
ーーー…スパーン!!
『近藤さん!』
「うぉ!」
声もかけずに襖をあける。
『いきなりすみません。』
「…蛍か。」
寝ていた近藤さんを起こしてしまったらしい…。
何か…マジでごめんなさい。
『声も掛けずに…総司みたいなことしました!すみません!』
「ははっ!確かに総司みたいだ!
構わんよ!
で、どうした蛍。」
近藤さんはやっぱり優しい!
大好きだー!
『あのですね!明日!
みんなで雪合戦しましょう!
総司も一もやります。土方も無理やり巻き込みました!だから、
せっかくなので幹部みんなで!』
「おお!それは楽しそうだ!
やろう!」
やったー!
『ありがとうございまーす!
じゃあ明日!』
次は平助の部屋!!
ーースパン!!
『平助!!』
あれ?いない。
近藤さんの部屋同様、思いきり襖を開けた。
しかし、部屋の中に平助はいない。
まぁ…いっか。
平助最後で…。
次、永倉さん!
ーースパン!!
っていなーい!!
まさかの原田さんもいないパターン?
とりあえず行こう!