夏目 蛍 高校二年生


私は生まれた時から
たくさんの"もの”をもっていた。


1つ いつ死ぬかわからない
心臓の病気。

2つ 親が偉い人である事からの
権力。

3つ 大きな家と 使用人。

それから


触れるだけで
心が読めてしまう力

傷や病気を自分のからだに
移せる力。



私は 普通でよかったの。




「おはよう 蛍。」

『おはよ』

毎朝 “おはよう”と
優しくこえをかけてくれるのは

双子の弟の 夏目 樹

学校があるのに
病院に来てくれる優しい弟だ。

「あのさぁ、 こんど友達が会いたいって」

『そうか、 連れておいで
私も 会いたい』

私は病気のせいで学校なんか
行った事がない。

勉強は家庭教師が毎日
病室まで来る






私は外に出ることは許されない。

生まれてから3回ほどしか
外に出たことがない。

全部 病気のせい。


蛍の容姿は美しい

腰までのびた綺麗な黒髪
ずっと外に出ていない為
真っ白な肌

誰もが振り向くような
美少女だ。

が、 鈍感である。



『樹 そろそろ時間じゃない?』

そうこうしてるうちに樹が
学校に行く時間になった

「うん 行ってくる」

『ん。』

私はそのまま目を閉じた。



ーーー

『...ん...ん?』


目が覚めると知らない場所だった。
布団の中だけど 病院じゃないのは
確かだ。

「あ、目ぇ覚めました?」

『...は? 』

驚いて声のした方を見ると
袴を着た美しい男が座っていた。

これは夢だろうか...
いや...夢だと思いたい。

「ちょっと待ってて下さい」

そう言って男は部屋を出て行った。







しばらくすると、さっきの
男が 何人かの男を連れて部屋に
入って来た。

「お前 何で屯所の前に倒れてた?」

入ってきて早々イケメンの男に
話かけられた。

って言うか、 は?

『屯所?』

何? 屯所って...。

「壬生浪士組屯所の前で倒れてたん
ですよ」

え? 何? 壬生浪士組って
新撰組じゃない?