『あああああああ!!!』

 もはや言葉も言わず、狂ったように叫び攻撃する千秋。
 まさに――鬼だった。
 俺は殺されそうな事よりも、千秋の状態に恐怖を感じた。

『あああっあああああああ!!……あああ』

 千秋の目はぎらりと光って――――ん?

 確かに、千秋の目は光って見える。
 何かに反射して……。


 涙?


 俺は動きを止めた。

「千秋……泣いてるのか?」


 千秋の攻撃がぴたりと止まった。

 攻撃が止まったお陰で、千秋の顔をじっくり見ることが出来た――涙に濡れた顔を。

「どうして――?」

 俺は問う。

『――どうしてって? そんなの……』

 千秋の目からはとめどなく涙が流れている。


『好きだから……椿が好きだからに決まってるじゃん!!』

 千秋は、悲鳴に近い金切り声で言った。