「俺、千秋の事――――」

『待って!!!』

「なっ、何だよ!?」

『その先は言わないで。分かってるから』

「へ――分かって――」

『だって、ずっと見てたから』

「え?」

『私と椿は今、同じ気持ちだよ』


「同じ……?」

『うん、同じ……』




「………………」

 千秋に告白した時の夢を見た。
 俺が好きって言う前に、千秋はもう俺の気持ちを知ってて。

 “同じ”

 そう。
 同じだったんだ。
 2人の気持ちは。

 なのに……なのに……

 今俺と千秋は、逃げる者と追う者――気持ちは1つにならないんだ。

「あれ?」

 俺、転んだまま倒れたんじゃなかったっけ?
 何で今、ベンチの上に横になってるんだ?
 まさか俺……テレポーション能力が!?
 ……んな訳無いって事くらい分かってるさ。



『あれぇ〜? 起きたぁ?』

「!!?」

 誰かが俺の顔を覗いていた。

 高校生くらいの女――いや、男だ。
 直樹さんとは180度違う、ほんわかした可愛い系の人だ。

 こういうのを癒し系って言うのかな?