俺は布団に潜り込んで、慎と直樹さんに背を向けた。

『…………』

 直樹さんは黙ってしまった。



 背中の方に、何か動くものを感じた。

 まさか……

 俺はゆっくり後ろに目を向けた。

「ちょ!! おま……」

 慎がもぞもぞと俺の布団に入ってきていた。

「何やってんだよおいおいおい!!」

 俺は慌てて壁に寄る。

『……いつも椿が落ち込んでる時、一緒に寝てたでしょ?』

「そっ、それは保育園とか小学校の頃の話だろ!」

 今俺達は青春真っ盛りな中学2年生だっつーの!

『だって俺……不器用だから、椿にどんな言葉書ければいいか分かんない』

 慎のその言葉に、俺の心が動いた。
 俺は慎を見た。

 いつもクールで冷静な慎が、涙を流していた。


 それを見て

「――慎」

 俺は

「ごめん……ありがとう」

 泣いた。

 千秋が消えてから流れなかった分の涙が、一気に流れ出た。