『じゃね』

「じゃあな慎!!」

『またねー!』

 いつも通っている十字路で、慎は左、俺と千秋は右へ歩く。
 慎は今まで京介と帰っていたから、やはり寂しいだろうな……。

 京介は、もう帰ってこないのだろうか?
 もう4人で騒ぐ事は出来ないのかな?

 そう思うとふと目頭が熱くなるのを感じた。
 千秋の前で泣くまいと、慌てて頭を振った。



 数分歩いた所で、別れ道へ差し掛かった。

『あ、もう別れ道だ……』

 千秋が少し寂しそうに言った。

 今まで――1日1人の行方不明者が出ていたが、千秋はまだ無事だ。
 もしかしたら一人鬼ごっこはもう終わったのかもしれない。
 そんな考えも頭に過った。

『椿と……離れたくないな』

 しかし千秋はそう気楽な事を考えては無いようだ。

「馬鹿。また明日会えるだろ?」

 俺は千秋を元気づけるように行った。が……

『また明日会える保証はどこにあるの……?』

 千秋のその言葉に、俺の心臓は大きく動いた。

『私だって今までそんなの考えた事無かったよ? だけど……怖い……明日なんて、無いんじゃないかって思うと。怖いよ……』

 今にも泣きそうな千秋を見て、俺はどうすればいいか分からなくなった。