『まあひいじいちゃんから聞いた事全部話すよ――小さい頃に聞いた話だからちょっとあやふやだけどな』

「はっ、はい」

 唐松さんがあぐらからちゃんと座り直したので、何となく緊張した雰囲気になった。

『行方不明事件――つまり一人鬼ごっこの始まりは、俺も知らない』

「そうなんですか……」

 原因は分からない、と言う事か。

『ひいじいちゃんの時は、最後の犠牲者が――ひいばあちゃんだった』

「はあ……っえ!!?」

 俺は思わずテーブルに身を乗り出した。

『座れ座れ! ひいばあちゃんが標的になって、死んだんだ』

「すみません。死んだん……ですか」

 何だかリアクションに困ってしまう。

『いいんだよ、ひいばあちゃんは俺が生まれる前に死んだんだし』

 まあ見る事もなく死んだ人に、悲しみ等の感情はあまり起きないかもしれないけど……。

『ひいばあちゃんの次の標的は、ひいじいちゃんだったんだ』

 ――愛しき者を殺さなければならない。
 そんな事があったら、俺は耐えられるだろうか。
 俺はちらりと千秋を見た。
 千秋は真剣に話を聞いていた。

「それで――ひいばあちゃんはどうしたんですか?」

 俺は先を促すように聞いた。