「テレビの人!?」

『あのっ……唐竹直哉さんて人!!』

『唐松直樹でしょ』

 慎が冷静に訂正した。

『そうそれ!!』

 それって……。

「ってえええぇぇぇ!!?」

 今度は俺が叫ぶ番だった。

「唐松さっ……本当に!?」

 俺は葛西に向かって言った。

『あ、うん』

 葛西は俺の大声に少し驚いたのか、小さく頷いた。

「えっ、あっ、会わして!!」

 それは俺の口から自然に出た言葉だった。

「どこに住んでるの!? ここから近い!?」

『落ち着いて椿』

 落ち着きを取り戻した千秋が俺に言った。

「はい……」

 でも、でも、
 こんな偶然があるだろうか。
 奇跡としか思えない。
 このチャンスを逃す訳には行かない。

『中央病院の近くに住んでるよ……』

 葛西が言った。
 中央病院……近いじゃん!!

「今日、行っていい!?」

『うっ、うん』

 葛西は俺の勢いに押され、頷いた。

 ……よっしゃ!!