『おはよう』

 教室に行くと、慎が挨拶をしてきた。

「はよ」

『おはよ』

 千秋はそう言うと、女友達の方へ向かった。

『何かあったの? テンション低い』

 慎が俺の顔を覗き込んだ。

「そっ、そりゃあ……京介の事もあるし」

 本当はそれだけでは無いのだが。

『ふーん……そういう事にしといてあげる』

 何だか慎には何もかも見透かされてる気がする。

「んだよ……そういう事って」

 俺は溜め息をついた。


『えええぇぇぇー!?!?』

 その時、教室中……いや学校中に聞こえるような大声が聞こえた。
 声の主は、千秋だった。

「どうした!?」

 俺と慎は、千秋の元へ駆け寄った。

『真奈美が!! テレビの人従兄!!』

 日本語しゃべって。

「落ち着いてしゃべれ」

『あのね!! 真奈美が……』

 真奈美?
 ああ、葛西の事か。
 千秋の友達で、クラスメイトだ。

『真奈美の従兄が、テレビに出てた人なんだって!!!』