――――朝。

『あれ!? 椿……何で?』

「昨日のニュース見ただろ。千秋が次の標的なんだぞ!」

 普段学校に行く時は別々に行ってるのだが、今日俺は千秋を家まで迎えに行った。

『椿、そんなの信じてるの〜?』

「いやいやここまで事件が広がってるんだし、本当なんだよ!! ほら、行くぞ」

 そう言って俺は千秋の手を取り歩きだした。

『それに……京介が私を捕まえるなんて、あると思ってんの!?』

「思ってねぇよ!!」

 俺が大声を出したので、千秋が少し後ろへ仰け反った。

「あ――ごめん」

 俺は大声を出した事を謝った。

『ううん――私こそ』

 俺だって……。
 俺だって、京介がそんな事する訳ないって思ってるよ。

 だけど――――。
 不安で仕方ないんだ。
 瞬く間に、千秋が消えてしまいそうで。


 俺達は何だか気まずくなり、無言で歩いていた。