『本当心配したわよ〜』

「うん」

『も〜何気なくニュース見てたら椿らしき少年が!! みたいな』

「うん」

『椿は目撃してないって聞いて、ほっとしたわ〜』

「うん」

『……椿、さっきから頷いてばかりね』

「うん」

 だってリアクションがそれくらいしか思いつかないし。

『また言った』

「…………」

 “うん”以外にどう言えと?

『あ、今度は黙っちゃった』

 俺をからかう母親を横目に、俺はテレビをつけた。

 ……行方不明の事ばかりだ。
 そんな全部の局でやらなくても分かるっつーの。

 俺は順にチャンネルを変えていった。

『……という事で私達は、どの番組よりも深くこの行方不明事件、いや―― 一人鬼ごっこ――と称された事を調べてまいりました』

 俺はチャンネルを変える手を止めた。

 一人鬼ごっこ――――?