「は……!?」

 俺は目を見開いた。

『京介が消えちゃったの!! 京介がっ!! きょ……ゲホッ』

 千秋は叫び、咳き込んだ。

「おい!! 大丈夫か!?」

 俺は慌てて倒れそうになる千秋を支える。

『だいっ……じょぶ……』

 千秋は顔をあげた。
 その顔は涙に濡れていた。

「――――っ!!!」

 俺はいてもたってもいられなくなり、千秋を強く抱き締めた。

『ふぇっ……つばっ……』

「俺が居るから……傍に居るから」

 泣くな。

『苦しいよ椿……』

「あ、ごめ……」

 俺は抱き締める力を弱めた。

『ありがとう』

 千秋はそう言って、俺にキスをした。
 ほんのちょっと触れたくらいの短いキスだったけど、不思議と心は暖まった。