「……」

『…………』

『………………』

 …………気まずい空気。

 俺こういう空気苦手なんですけど。

「あっ、あのさ!!」

 気まずさに耐えられなくなり俺は立ち上がって言った。

 二人の目線が俺に。

 何か言わなきゃ――
 何か……何か……

「トイレ言ってくる!!!」

『あ……そう』

 ――俺の馬鹿ッッ!!!!

 仕方ないので部屋を出て、トイレに行った。



 ジャー……。

 トイレから出ると、部屋の方から声が聞こえた。

『きゃあっ!!』

 千秋の声――?

『……母さん!?』

 京介の声――?


 俺は不吉な予感がして、廊下を走った。
 そして部屋の前まで行き、ドアノブに手を掛けた時。

『うわあぁっ!!!!』

 叫び声が――

『京介っ!?!?』

 俺はドアを勢い良く開けた。


「あ……れ……?」

 部屋に居たのは千秋だけだった。

『きょ……椿ぃっ……!』

 千秋は俺を見ると、俺に駆け寄り抱きついた。
 微かに千秋の体が震えている。
 そして、千秋が驚くべき言葉を言った。

『京介が……消えちゃった……!!』