放課後。
 俺は京介の家の前に居た。
 勿論隣には千秋。

「押すぞ」

『うん』

 インターホンを押す。
 一般的なインターホン音が聞こえる。

 暫くして、

『……誰ですか』

 インターホンから京介の声がした。
 いつものハイテンションな声ではなく、暗く沈んだ感じだった。

「俺、……椿と千秋だけど」

 聞こえて来た声に不安を感じながらも俺はそう言った。

 するとドアの向こう側から微かに足音が聞こえ、ドアが開いた。

『よう……』

 俺は思わず目を見開いた。
 昨晩寝ていないのか、目の下には隈が出来ていて、顔色も悪かった。
 普段の明るい雰囲気は、どこにも見当たらなかった。

「元気か……?」

 元気な訳がないのに、俺はそんな言葉を口にしていた。
 こんな状態の京介に、かける言葉が見つからなくて。

『さあな……まあ入れよ』

 京介は曖昧な返事して、力なく笑った。

 ちらりと千秋を見ると、困惑した様子で立っていた。

「じゃあ、お邪魔します」


 俺がそう言って中に入ると、千秋も後を追って中に入った。