『宮下、良い奴だね』

 慎がそう言ったので、俺は驚いた。

 滅多に人を褒めない毒舌な慎が……!!

『今失礼な事思わなかった?』

 鋭い奴がここにも!!

「んな事ねぇよ〜」

 俺は目を泳がせながら言った。

『宮下も、元気になったね』

 千秋が言った。

「ん? ああ、そうだな」

 あの時は、随分落ち込んでいたからな……。

『やっぱり親友が自殺しちゃったらね……』

「京介もそうならないように願うよ」

 俺はぽつりと呟いた。

『うんっ』

 千秋と慎が、こくりと頷いた。

「放課後、京介の家に行ってみようぜ」

 俺が提案した。

『そうだね、行こっ!!』

 千秋が笑顔でそれに応じた。

『俺、無理』

「はぁ!!?」

 俺は慎の言葉に素っ頓狂な声を上げた。

『今日退院なんだ』

「あ、そっか……」

『まぁ、仕方ないね』

 千秋が言った。

 そう。
 慎の3つ下の弟は、今まで入院していたのだ。
 そんな大病じゃなくて、肺炎だったんだが。

「分かった」

 やはり、家族だしな。

 俺は頷いた。