手に付いたアイスを拭き、残りのアイスを口に押し込んだ。
 そして京介の携帯に電話をかけた。

 聞こえるのは、プルルル……という一定の呼び出し音だけ。
 呼び出し音が、耳の奥まで虚しく響き渡った。
 京介の家電にもかけたが、結果は同じだった。

 京介……どうしちまったんだよ。
 帰るまで笑ってたじゃねぇか。
 京介…………。


 俺は慎にも電話をかけた。

「もしもし」

『おかけになった電話番号は現在使われておりませ』

「嘘つくな! お前、出てるじゃねぇか」

『……チッ……もしもし』

「特別に今の舌打ちは聞かなかった事にしといてやる」

『どうも』

 こんなのも慎なりの気遣いなんだろうが。

「あのさ」

『京介になら電話繋がらなかったけど』

「……そうですか」

 人が聞く前に答えるなよ。

『それだけ? なら切るよ』

「あ、うん」

 電話が切れた。

 本当慎の奴、必要最低限の事しか話さないな。

 しかし今ので少し気分が楽になったので、俺は早々と布団に入った。

 京介……明日、元気な顔見せてくれよ。