晃平はボールを両手で包み込み、遠くのスコアボードを見上げた。



「晃平、今日はやけにおしゃべりやな。」


「俺はいつも、こんなんやで?」



晃平がにかっと笑う。
焼けた肌に、白い歯が眩しい。



「今日が、中学最後の試合になるかもしれへんで、か?」



晃平はかぶりを振った。


「まさか。これでラストにさせるかよ。」


晃平は手に持っていたボールをぽん、と俺に放った。


見事に俺の手の中にすっぽりと落ちてきたボールを見て、改めて晃平のコントロールの良さに惚れ惚れする。