「俺さ、スコアボードもすげえなって思うんや。」


「……はぁ?」


晃平がまた突拍子もないことを言い出すもんだから、間の抜けた声が出る。


「だって、試合の前まで誰も気にとめへんやんか。なのに試合が終わったら、スコアボード以上に重い意味を持つもの、なくなるやん?」


晃平はボールを一旦空に放ち、またその手の内に収めた。


「刻まれるのは点数だけやねんけど、ちゃうよな。あの土埃とか、歓声とか、汗とか、……涙とか。多分全部、刻み込んでしまうんやろな。」