「晃平。」


汗で湿った髪をタオルでくいっと拭いて、帽子を被りなおす晃平に話しかけた。


「ん?」


「覚えとる?小学校の頃、お前、ボールがしゃべるって言ったやん?」


「忘れへんよ。」



そこで俺らの目があって、ふたりとも黙り込んだ。
晃平も俺も、目を逸らさなかった。










「晃平、俺、野球大好きや。」