良恵さんのスナックを出てから、 私は部屋を借りずに、 毎日、街をさまよっては声を掛けてくる男と一夜を共にした。 色んな男に抱かれていた。 失うものが何もない私は怖いものなんてなかった。 殺されたって別にいい。 そんな風に思っていた。 ただ、夜に独りになるのだけは嫌だった。 誰か傍にいて? 名前も知らない男に抱かれてても、 独りでいるよりは幸せだった。