『あなた、名前は?』


『えっ…?エミです…愛に美しいと書いて愛美。』



『愛美ね…じゃあ愛美、今日からうちで働いて?』


『…えっ?』


『どうせ帰る場所もないんでしょ?うちなら住み込みで働けるから…』



『ありがとうござ…』


私は目から涙が溢れ落ちて止まらなかった。


生まれてから誰かに優しくして貰うのは初めてだった。


女の人は何も聞かずに、私の頭をそっと撫でてくれていた。


私は、張り詰めていた糸が切れたみたいに何時間も泣きじゃくっていた。