あたしには好きな子がいる。
バスケ部で元気で背が少し小さくて髪の毛がフワフワしてて女の子みたいにかわいい子。
よくしゃべって面白くてかわいくて惚れてた。

だけどー・・・学校が終わって帰ろうとしたときにみてしまった。告白を受けてつきあうことになったらしいその二人を見て胸が苦しくなった。涙があふれ出て止まらなかった。

誰にも見られないように一人もいなくなった教室で小さくなっていた――――――

・・・カタン。と音がして顔おあげてみると目の前に水谷がいた。恥ずかしくなって
顔を下に向けたとき頭にポンって手を置かれた。

「・・・どした?泣いてると幸せが巡ってこないぞ。何かあったんだろ?俺でよければ
話聞いてやんよ!それに話したらすっきりするかもよ?」

「・・・っく、ふぇっ・・・、ごべん(ごめん)、っく・・・あっがとう。さっきねー・・・」

それから私は今までの思ってたことからすべてを吐き出した。
水谷は相槌を打ちながら聞いてくれた。

「そんなことかよ!気にすんなよなッ!!それくらいでぇ~、もっと深刻な話かと思ったわ(笑)でも、つらかったよな。我慢できなかったくらいだもんな。よしよし」

そう言って水谷はずっと泣きやむまで一緒にいてくれて、頭を撫でてくれてた。
落ち着いてから「ありがとう」というと

「気にすんなって!!これくらいいくらでもやってやんよ!!」
とびきりさわやかな笑顔で言って帰って行った。

きっとあたしはこの時すでに恋をしてたんだと思う―――――――。