と、その時。

「せんせー、転校生来てんでしょ!?
 早く連れて入って来いよー」


教室の中から大きな声が聞こえてきた。


「おー、今教室入るからー!」

先生も負けじと大きな声で返す。



わー、“早く入って来い”なんて言われると
すごい恥ずかしい。

私、何かおかしいところないよね…?


不安に思い、
今日の朝 しっかりとカーラーで巻いてきた前髪を
手でサッと整えた。


「じゃあ、俺の後に続いて入って」

「は、はいっ」


そう言って先生は
ゆっくりと2年E組の教室のドアを開けた。

その途端、
ざわめいていた教室が静まりかえる。


すーっ…

先生が最初の一歩を踏み出した時、
私は大きく息を吸った。

秋の初めの 生温かい空気が鼻を通る。


よし、行こう。


ハーっと吸った息を吐き出し、
緊張しながらも一歩を踏み出す。

始める。
始める。
始める。

私の新しい人生が始まるんだ―