外出許可をもらい、昼前に、病院前で桃香との待ち合わせ


『じゃー、行ってきます』


『あら〜良いわね、どちらまでお出かけ、15:00までには帰って来てね、点滴まってるからね〜いってらしゃい』と、看護士の田辺さんーこの田辺さん、いつもおしりを突き出して小走り 
後ろから見ていると、まるでアヒルいやアヒルそのもの 

  もちろん今日も・・・。


二つ目のガラスの自動扉をぬけると、営業スマイル丸出しの銀行員が、やってきて

『いっらしゃいませ、本日はどのようなぁご用件で?』

『え〜と、定期預金解約したいんやけど』

『それでは、こちらの番号札をおもちになって、あちらの席におかけになってお待ち下さい』

席につき一時の安らぎにひたってた時



  ウォオギァ〜ウギァ〜

叫び声が?いや?泣き声

『あ〜ハイハイ どぉちぃたどぉちぃた』と、驚きもせず我が子をあやす桃香 
泣いてるのは、みぃな〜の弟・徹7ヵ月とちょと!こんな小さい体のどこから、こんな大きな声出るのか!
  まもなくすると

   『24番の番号札をお       持ちのお客様』

   『お〜 行ってくるは』


  銀行員のお姉様の処へ   

通帳とハンコを鞄から出し、定期預金解約の件を伝え
『そーしましたら、大竹様こちらの用紙にお名前・住所・・・・・お書き下さい』






 ボールペンをにぎり書こうとした   その時   手にかすかなあ違和感を感じた 


  それ程、気にも止めず




    一文字目




  書こうとした瞬間
  ハッキリと解った指先に      麻痺的震え





    “字が書けない”                        



 後でわかったんですが、これは心臓が悪くなったときに、あらわれる症状だったそうです。