「あ、あのっ!!」
「はい。」
「今日、ココに桐谷蓮という男性が来てると思うんですが…
その人が今どこにいるのか教えてくれませんか!?」
こんなコト聞くのはルール違反だってわかってる。
“素顔を隠した秘密の夜会”がコンセプトの柚月サンの仮面イベント。
なのに…
こんなところで人探しをするなんて間違ってる。
案の定
「申し訳ありませんが参加者の素顔をお教えすることはルール違反ですので出来ません。」
私の野望はあっけなく崩れ去る。
「そうですか……」
やっぱり…
この人ごみの中から探し出すしかないかぁ…
肩をガックリ落として
見えない先行きにズーンと暗くなっていると
「でも…ヒントは差し上げられます。」
そう言って
柚月サンは私に向かってニッコリと微笑む。