ヨロヨロと店を出て、新宿御苑の近くをプラプラと歩いているとポケットの中に忍ばせていた携帯がブルブルと鳴りはじめる。
ため息を吐きながら携帯を取り出すと、携帯に現れた名前は【藤堂理子】
――理子……
落とされるであろう理子のカミナリにげんなりしながら
「もしもし…??」
電話を取ると
「優希??
……今すぐ家にきな。」
最高に不機嫌な声でそれだけを伝えると、理子はブチッと電話を切った。
理子の実家は代官山にある高級マンション。
だけど…今すぐ来いってコトは初台にある自分の家に来いってコトね…。
それを理解した私は近くの地下鉄に乗り込んだ。
初台までは電車で15分くらい。
乗車人数の少ない新宿線の地下鉄の中で私は、レンの顔を思い出す。
本当に…私のこと見損なったんだろうな。
ひどく軽蔑した瞳で私のコトを見つめてた。
あの瞳を思い出すと、心の奥がずっしりと重くなる。
あの瞳を思い出すたびに私は自分のしでかしたことの大きさに、胸がつぶれそうになる。