すらっとした長身に、さわやかになびく茶色の髪。
私をホールの中心に誘ってくれたアルフレードは物腰が恐ろしくスマートで、流麗だった。
育ちのよさ…っていうのかな。
さりげないしぐさに品があって、上品。
彼のしぐさを見ているとなんとなく、彼の育った環境がわかる。
きっと彼は理子と同じ、あちら側の人間。
きっと私とはあいいることのない、上級な人間なんだ……。
「じゃ、踊りましょうか。ヴィオレッタ。」
そう言って、私の手を取るアルフレードの後ろから楽団員たちが奏でるのは、華麗な3拍子のワルツ。
「む、ムリ!!
私、社交ダンスなんて踊ったことないもん!!」
私のダンス歴なんて中学校のフォークダンスでピッタリ止まってるんだからね~~!!!!
アルフレードには悪いけど、絶対にムリー!!
身を硬くして徹底的に踊りの誘いを拒否すると
「大丈夫。周りを見てごらん、ヴィオレッタ。」
彼は柔らかに微笑みながら、ゆっくりと周りを指をさす。