耳の後ろにうっすらと流れるクラシック。
弦楽器の柔らかな音色が心の中をほっこりと温かくしてくれる。
この曲がなんなのかなんて、ちっとも知らない。
だけど聞きやすいメロディーと美しいハーモニーは聞いていて心地いいし、幸せな気持ちになる。
いい曲だな~。
フロアーの中央で楽しそうにおしゃべりしてる理子を壁際でジーっと見つめていると
「お隣いいですか??」
黒いタキシードに身を包んだ仮面の男性に声をかけられる。
「あ、はい。どうぞ。」
こんなパーティーに出ていて出会いを無視するなんて、ナンセンス。
そう思って少しスペースを開けると、男性はニッコリ笑いながら
「ありがとう。」
と呟いた。