黄金色のシャンパンに、豪華なインテリア。

驚いたことに部屋の中には小さな楽団が準備されていて、中世の社交界さながら、生のオーケストラがBGMを奏でている。





「ふふっ。きっと私たちの名前のモチーフになった方たちも、こんな空間に身を寄せていたのかしらね。」




シャンパンを口に運びながら、理子はフワリと柔らかに微笑む。




「名前のモチーフ??」



そういえば…さっき理子が言ってたよね?
『世紀の悪女に高級娼婦だなんて、素敵じゃない』……って…。


アレってどういう意味なんだろう…。





気になって理子に訊ねると


「えぇ!?あんた気づかなかったの?」


理子は呆れたように叫ぶ。





「うん。なんのことだったの?アレ。」




シャンパンをクルクル回しながら訊ねると、理子はハァ~とため息を吐きながらこう言った。




「マノンもマルグリットもオペラの主人公の名前よ。
マノンは“マノン・レスコー”っていうオペラに出てくるヒロイン。
ヴィオレッタは“椿姫”ってオペラの主人公。
そういうオペラから私たちの偽名を引用したのよ。」