そして迎えた当日。
『い~い!?ハリウッドスターのようなドレッシーな格好で来るのよ!?』
と理子に凄まれた私は、黒地のタイトなロングドレスでタクシーに乗り込んだ。
タクシーには既に理子も乗り込んでいて。
「あら、アンタ随分地味な格好できたのね。」
と、呆れたように私の姿をマジマジと見つめる。
「あのねぇ。コレが普通の一般人の常識なの。
世の中の日本人がアンタみたいに派手好きじゃないんだからね。」
私に文句を垂れた理子のドレスは真っ赤なラメのタイトドレス。
丈こそロングだけれど、太ももの真ん中までスリットが大きく開いている。
「は~、ヤダヤダ。
パーティーで目立たないなんて死んでもゴメンだわ。」
そういって呆れたように大げさなため息を吐く、理子。
このドレスに金色の仮面…。
きっと今日のパーティーの主役は理子に違いないと、タクシーの中で小市民・遠山優希は確信したのであった…。