「でも…あのカフェで事実を知って…
俺は酷く傷ついた。」
レンはバルコニーの端まで歩いて、肘をつくと
「あの笑顔の下でそんなコト思ってたのかと思うと吐き気がしたし、
平気であんな酷い言葉を口にできる優希にも正直がっかりした。」
『な~んか可哀想なくらいにキモオタだったから、からかってやっただけなんだ~!!』
あのカフェで自分かわいさに吐いた、あの言葉
アレを思い出すと、私の胸はギュウっと痛む
――アレは…違うの!!
そう言い訳をしたいけれど
あの時の自分をかばいたいけれど
きっとどんな言い訳もきっとレンには届かない。
傷ついた心は
傷つけた心は
言い訳では癒せない。
何も言えず
何も出来ず
ただ両手をギュっと握り締めていると
「だから…もう会わないつもりだった。
俺の上辺だけにしか興味のない女も、
肩書きにしか興味のない女も、
正直、もううんざりだ。
いつもと同じ。
いつもと同じように俺の記憶の中からキミをリセットすればいい、そう思ってたのに……
優希はどうしてココにきたの?」
「………。」
「優希、俺は全部喋ったよ。
今度は君の番…でしょ。
聞かせて?君の心の真実を……」
そう言って
レンは私に向き直った。