お面の後ろに見える、色素の薄い茶色の髪
スラッとした長身に、高そうなスーツ
「レン……」
間違いない
あれはレンだ。
素顔を隠していても
見間違うはずがない。
あれはレンだ。
だって……ドキドキする。
彼が少し鬱陶しそうに、こっちを振り向いただけで、私の心臓が早鐘を打つ。
こんなに私の胸を苦しくさせる人は
世界中に一人しかいない
こんなにこがれるほど熱くさせる人も
一人しかいない
「レン……。」
愛しくて、大切な彼の名前を呼んで、近くへ走り寄ろうと体勢を整えたその時
「何の用ですか?のびたくん。
僕は君に面識なんてありませんけど??」
そう冷たくいい放って
レンは私をやんわりと拒絶した。