「知り合いでも何でもないのに親切に起こしてくれてさ。しかもすげー真剣な顔して。

面白いなこの子、って思った。

そしたら急に、もっとあんたのことが知りたくなった。で、とっさに明日もよろしくって言ったんだ。

ほんとに次の日も起こしてくれるのか、俺の中ではちょっとした賭けだったんだけど……

あんたはちゃんと起こしてくれた」


と言って、彼は照れくさそうに笑った。


「自慢じゃないけど俺、朝起きんのマジで苦手で、遅刻しないで学校行ったことなんてほとんどない。

だけどあんたに会いたいから。

ケータイと目覚ましフル稼働でセットして、それでも起きる自信なくて、

毎日貴重な百円弟に払って朝起こさせて、必死であの電車乗ってた」


私は宙にでも浮いてるんじゃないかと思うほど、ふわふわとした感覚で、話し続ける彼を見ていた。


「地味だけど、結構頑張ってた俺の気持ち、伝わった?」